『クラニオのタッチ』~触れることの効果~
クラニオ・バイオダイナミクスのセッションの特色の一つに、
ごくごく軽く『触れる』ということがあります。
ハワイ島のマッサージスクール[H.I.S.M ハワイアイランド スクールオブマッサージ]
(残念ながら、現在は無くなってしまいましたが)でリンパドレナージュを学んだ時、
その軽いタッチを称して『3グラムタッチ』と言われました。
当時、しっかり圧をかけるオイルマッサージを習っていましたので、
3グラムというのは非常に軽く、なんとも頼りなくも感じました。
クラニオを学び、クラニオ・バイオのタッチをするようになった今となっては、
(3グラムがどの位重く感じるかということを実際に測定してみたクラニオの
プラクティショナーもいますが)
『3グラムのタッチ』というのはかなりしっかりと重みを感じます。
慣れというものは、凄いものです。
《セッションのご感想》をいただくと
「手がどこにあるのか、全く感じないので熟睡できた」 とか
人から触れられるということが苦手な方や普段、緊張が強い方からは
「本当に触れていたのですか。いつもは触れられていると気になってリラックスできないのに、
触れられている感じがしませんでした」
というお声もよく聞かれます。
一方で、強いマッサージを好まれる方は、
「軽いタッチは何となく効果が無いのでは」とか
「何をやっているのかさっぱり感じないのは」
と思っていらっしゃる方も多いようです。
実際は、『軽く触れているかどうか』程度のクラニオタッチは、
しっかり圧をかけて体の表層部の筋肉などを揉みほぐすよりも、
結果的に身体の深層部に働きかけます。
(フィールドも違うので比較するわけではありませんが)
『結果的に』と書いたのは、
クラニオ・バイオダイナミクスのセッションというのは、
「●●が▲▲になります」という明確なものではなく、
人の予想を超えることがしばしば起きるので、
頭(知識)のみでプロセスを理解しようと型に当てはめることは、
難しいことも多いからです。
去年、私は103歳になろうかという母方の祖母に会いに母と二人、
祖母の入院先の病院を訪ねました。
伯父から聞いていた容態は、
「肺炎で入院して以降、呼びかけに応じることもなく、瞼も閉じたままで、
ほとんど意識レベルはないので面会に行ったところで誰かもわからない」
ということだったのですが、
私が耳元で語りかけ、クラニオのタッチで触れたところ、
看護師さんも驚くような反応が祖母に起きました。
祖母は、しっかりと目をあけ、私の話にまるで相槌をうつかのように何度も声を発し、
また、微笑むように顔の筋肉を動かし、私の手を握り返してくれたりしたのです!
祖母を看護してくださっている看護師さんは、実際にその様子をみて
「いつもはほとんど反応がないんですよ。私たちが触ろうとすると、
(触られるのが嫌で)身体を丸めて小さくなってしまうくらいで・・。」
と驚かれていました。
先日、祖母の件で話をしに来てくれた伯父に、クラニオのセッションの話と
母と私が訪問した際の祖母の様子を話しました。
「自分達は、何度も見舞いに行っているけれど、去年からほとんど意識も無いし、
目を開けることもないから・・
それはその(クラニオ?)効果があったってことなんだろうね」
伯父は、自分が知っている祖母の状態からは、ちょっと想像できない
というように首を傾げていました。
祖母に限らず、高齢者や重篤な方々へのセラピーや治療は、
『元気な状態での社会復帰を目指す』というものではなく、
『痛みや苦痛から解放され、少しでも心地良い状態や本人が楽な状態』への
手助けではないかと思います。
昨年の祖母を見舞った際のクラニオのセッションは、
クラニオセイクラルセラピストとしてクラニオのタッチを通じて、
今後私が何をどのように提供して行けば良いのかをあらためて考える
きっかけとなりました。